研究課題/領域番号 |
13670427
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
工藤 恵子 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10186405)
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研究分担者 |
辻 彰子 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10171993)
西田 尚樹 秋田大学, 医学部, 講師 (10315088)
池田 典昭 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60176097)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 医療事故 / 局所麻酔薬 / 抗精神病薬 / 突然死 / 高位麻酔 / 消毒薬 |
研究概要 |
我々は、エステル型局所麻酔薬テトラカインによる脊椎麻酔後まもなく死亡した事例に着目し、死因は、麻酔薬が脳幹部分まで達した、いわゆる高位麻酔によるものと推定した。そこでまずGC/MSによるテトラカインとその代謝物の高感度分析法を確立し、艦定試料中濃度を詳細に測定した。次にテトラカインによる脊椎麻酔下で手術を受けた整形外科患者10名の血液中テトラカインおよび代謝物濃度を経時的に測定し、正常麻酔時の血液中濃度のデータを集積した。さらにウサギを用いた動物実験により正常麻酔下と高位麻酔下での脊髄、脳の各部位および血液中のテトラカインおよび代謝物濃度を測定し、これらの結果を総合的に検討することで、高位麻酔の化学的艦定法を確立した。さらにこの鑑定法に基づいて高位麻酔事例の鑑定に初めて成功した。 外用消毒薬ヒビテンはクロルヘキシジン製剤であり臨床現場で広く用いられる。近年、この薬を誤って静注する事故が発生し、一人の患者さんが死亡した。クロルヘキシジンは非常に極性が強く、良好な分析方法がなく、死亡例による血液中濃度も報告されていない。そこで液体クロマトグラフィーによるクロルヘキシジンの高感度分析法を確立し、消毒薬混入事故の試料測定を行い、死因の鑑定に成功した。 抗精神病薬を長期にわたって摂取している精神科患者が、突然死して司法解剖に付される例にしばしば遭遇する。この急死の原因は解明されていない。我々は、肥満を伴う精神科患者の突然死2例について、詳細な病理組織学的検討と摂取された薬物の体組織中濃度の測定を行い、死因の究明を行った。その結果、事例1に関しては、致死濃度に近いフェノバルビタールの検出と同時に、心臓の房室伝導系に高度の脂肪浸潤、中隔心筋による圧搾を伴うHis束の高度左方変位があり、また肺内小動脈にびまん性に狭窄像を認めた。そこで薬物中毒が死因と考えられたが、刺激伝導系の高度の異常、肺高血圧症の存在は、その値が致死濃度に達せずとも本屍が薬物中毒で死亡した機序を説明する一つの重要な所見になりうると考えられた。事例2に関しては、薬物濃度はすべて治療域であり、房室結節動脈に高度の狭窄を認めたことから死因は房室結節動脈狭窄による心臓性突然死と判断した。このように薬物濃度と心臓の刺激伝導系の詳細な検討から、精神科患者の突然死の原因を解明しようとする試みは他に例がなく、今後の研究の発展によって突然死の発症機序が解明されることが期待される。
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