研究概要 |
我々はこれまで糖転移酵素(FUT2,FUT3,FUT6)やハプトグロビン、トランスフェリンなどの血清蛋白などの遺伝子多型について解析してきた。今回我々はこれらの仕事を発展させるためFUT2のcoding領域のFlanking領域をSequence解析した。その結果FUT2の5′flanking regionは非常に多型性は乏しくhomgenousであること、一方3′flanking regionはcoding領域同様、非常に多型性に富んでいることがわかった。さらにその3′flanking regionには非常に多型性に富んだshort tandem repeat(STR)が存在する事がわかった。これらのSNPsやSTRを調べる事でFUT2遺伝子のevolutionについて理解する事が可能になると思われる。これらの遺伝子に加えてP式血液型遺伝子のnull allele及びKell式血液型遺伝子のnull alleleの責任mutationをそれぞれ同定した。これらの研究により血液型遺伝子の役割についての考察が可能になる。さらに、冠動脈硬化症感受性責任遺伝子の一つであるPON1についてはそのpromoter領域1.3kb及びその16.5kb下流のPON1192番目のコドン多型を中心とした1.8kbの領域をさまざまな人種でsequence解析し十数個のSNPsを同定した。その他癌感受性遺伝子BRCA1についても最大のexonであるexon11の3.4kbの領域についてさまざまな人種でSequence解析を行い12個のSNPsを同定した。これらの研究により様々な人種のpopulation structureを理解する事が可能になり今後の疾患とのassociation studyに役立つ事が期待できる。
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