研究概要 |
我々は科学研究費の補助を受けて、人の様々な遺伝子座に存在するSNP解析を行なった。その結果P式血液型の前駆物質を合成するα(1,4)glactosyltransferase gene,KEL式血液型を決定するKEL遺伝子等のnull mutationに相当するSNPsを同定し報告した。さらにヒトのPGM3がAGM1と同じものである事を示しその1型2型の多型の責任変異を同定した。またparaoxonase1(PON1)遺伝子のpromoter領域とcoding多型くコドン192)のflanking sequenceそれぞれ1.3kb,1.7kb中のSNPを同定しSNP間のlinkage dliequilibrium(LD)の人種差を解析した。その結果、PON1遺伝子のLDは日本人では非常に強く白人やアフリカ人では日本人に比べLDが小さいことが示された。これらのことからPON1に認められる冠動脈疾患などとcoding多型のassociationが人種によって異なっている理由の1つとして人種間のLDの違いによる可能性が示唆された。したがって今後は単にSNPと疾患のassociationではなく、haplotypeと疾患のassociation studyをする必要があると思われる(論文投稿中)。分泌型遺伝子、FUT2に関しては3'flanking regionに多型性に富んだSTRを見い出しSTR多型とcodling regionの多型の連鎖不平衡を調べる事でこの遺伝子座の進化を推定する事が可能になった(論文投稿中)。さらに乳癌感受性遺伝子BRCA1のExon 11(3.4kb)中のSNPsの人種差を解析し、この遺伝子はアフリカ人では1つのalleleが高頻度に存在しヨーロッパ人や日本人では別の2つのalleleが共に高頻度に存在することが示された。これらの結果からこの遺伝子多型が何らかのselectionによって維持されている可能性について解析中である。
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