研究概要 |
平成13年度の研究計画を実行し,以下の研究成果を得た. 1. SLEにおけるBAFF/TACI/BCMAシステムの発現解析 健常者及び未治療SLE症例各8名の末梢血単核細胞において,新しいTNFファミリーに属するBAFFとそのレセプターであるTACIとBCMA,及び計画実行中に発見されたBAFF-Rも加えて遺伝子発現をRT-PCR法にて解析した.それぞれの遺伝子が直線的に増幅されるサイクル等のPCR条件を設定し,サンプル中のRNA量はそれぞれのGAPDH発現量にて補正した.その結果,健常者とSLE症例両群間においてBAFF,TACI,BCMAの遺伝子発現に有意差は認められなかったが,意外にもBAFF-RのみがSLEで有意に遺伝子発現が低下していた(ρ=0.021).TACIとBCMAはB細胞のみならずT細胞にも発現されるが,BAFF-RはB細胞のみに発現されることから,この結果がSLEにおけるB細胞分画の変動を反映している可能性もある.しかし,B細胞に特異的に発現するCD19を同様に検索しても両群間に有意差がないことから,単なるB細胞の比率を反映しているとは考えられない.SLEではT細胞のみならずB細胞も多クローン性に活性化されて自己抗体産生に寄与しており,BAFF-R遺伝子発現の低下はそれを示唆する新たなマーカーの一つになりうると考えられる. 2. BAFFファミリー蛋白分子に対するモノクローナル抗体の作製 遺伝子発現の差が認められたBAFF-Rの蛋白レベルの解析のために,遺伝子組換え融合蛋白BAFF-R-Igを作製してマウスに免疫した.しかし,この様な方法では現在まで特異的抗体が得られていないため,研究方法の一部を変更して次年度も実施する.
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