研究概要 |
1.全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチ(RA)では血中BAFFレベルの増加が報告されているが,末梢血単核細胞でのBAFF遺伝子発現は健常者とSLE症例との間に有意の差は認められなかった. 2.BAFFに対する3種類のレセプター,すなわちBCMA, TACIおよびBAFF-R遺伝子の発現はSLE末梢血単核細胞において大部分の症例で亢進していた.これらのうち,BAFF-R遺伝子発現の亢進が抗DNA自己抗体産生に関与しているようであった. 3.BAFF, TACIおよびBCMAに対するモノクローナル抗体を作製する計画であったが,使用可能な抗体作製には未だ成功していない. 4.TACI遺伝子発現の解折中に遺伝子発現変異体をクローニングした.この変異体は細胞外ドメインをコードするエクソンの選択的スプライシング(エクソンスキッピング)によるものと考えられた.このスプライシング変異体がコードするアミノ酸は,全長サイズの遺伝子と比較して,46個のアミノ酸の欠失とアミノ酸1個の置換が細胞外領域で推測されるが,膜貫通領域や細胞内領域には異常がないと考えられる.この変異体蛋白の発現や機能については現在,解折中である.
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