報告者はすでに、CpGDNAをアレルゲンと結合すると、抗原特異的な強力なアレルギー抑制作用を発揮する事を報告した。今回は、作用機序の解明を目的とした。その結果、CpGとアレルゲンを結合すると、抗原の樹状細胞への結合が著しく促進され、あわせて抗原取り込みとT細胞活性化が冗進することがわかった。抗原を提示する樹状細胞では、CpGによる共刺激物質の発現とIL-12産生も誘導された。Th1誘導に必要な三つの事象が各樹状細胞で同時に起こるために、約100倍効率の良いTh1細胞の分化誘導と活性化が引き起こされることが分かつた。 また、以前報告したTGF-β産生の調節性T細胞が皮膚のアレルギー性炎症を抑制できるかどうかについて検討した。気道の高用量トレランスで誘導されたTGF-β産生細胞は、Th1あるいはTb2細胞で誘発された皮膚炎を抑制し、その機序はTGF-βとIL-10を介するものであることが分かった。気道と皮膚という外界とのインターフェースでの炎症が相互に調節機構を共有しているという知見であり、今後のアトピー性皮膚炎などの治療への展望を開くものである。
|