研究課題/領域番号 |
13670445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
石塚 全 群馬大学, 医学部, 助手 (50302477)
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研究分担者 |
岡島 史和 群馬大学, 生態調節研究所, 教授 (30142748)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 肥満細胞 / 遊走 / 抗原 / IgE / p38 MAPキナーゼ / MAPKAPキナーゼ2 / Rhoキナーゼ / Chemotaxis |
研究概要 |
マウス肥満細胞株MC/9およびマウス骨髄由来培養肥満細胞BMMCを用いて肥満細胞の抗原へ向かう遊走能を検討した。細胞をAnti-DNP IgEで受動感作し、Boyden Chamberを用いて3ミクロンの孔を有するポリカーボネート膜を通過して、抗原(DNP-HSA)側に遊走した細胞数をカウントした。Anti-DNP IgEで感作されたマウス肥満細胞は抗原へ向かって遊走し、感作されていない肥満細胞は遊走しなかった。至適濃度の抗原(10ng/ml)へ向かう遊走の程度はマウス肥満細胞の最も強力な遊走因子であるStem cell factorによる遊走の程度よりもはるかに大きかった。IgEのクロスリンクによって刺激した細胞の培養上清には遊走を惹起する活性はなく、抗原が直接遊走を惹起しているものと予想された。次にMC/9を用いて細胞遊走に関与する細胞内シグナル伝達因子について検討したところRhoキナーゼ阻害薬Y-27632およびp38MAPキナーゼ阻害薬SB203580はMC/9の遊走を抑制した。PI3キナーゼ阻害薬WortmanninはMC/9の抗原刺激によるp38MAPキナーゼの活性化を部分的ではあるが、有意に抑制し、その下流のMAPKAPキナーゼ2の活性化も部分的に抑制したが、MC/9の遊走を抑制しなかった。一方、SB203580は遊走を抑制する濃度で、MAPKAPキナーゼ2の活性化を完全に遮断したことより、細胞遊走にはp38MAPキナーゼの活性化は必要であるが、ある程度活性化が惹起されれば、十分であると考えられた。また、Y-27632はMC/9のMAPKAPキナーゼ2の活性化に影響を及ぼさなかったことより、肥満細胞の抗原へ向かう遊走においては、Rho、Rhoキナーゼ活性化によるMyosin phosphatase抑制を介したミオシン軽鎖リン酸化の亢進とp38MAPキナーゼ、MAPKAPキナーゼ2の活性化によるHeat shock protein 25/27のリン酸化を介したアクチンの重合との2つの経路が重要であることが示唆された。また、MC/9において抗原やSCF刺激により、Protein kinaseD (PKD)が活性化され、PKD阻害作用を併せもつProtein kinase C (PKC)阻害薬は細胞遊走を阻害するが、他のPKC阻害薬は細胞遊走に影響しないことより、肥満細胞の遊走におけるPKDの関与が予想される。
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