多発性筋炎(PM)患者では健常人に比し末梢CD8T細胞のクローン性増多が多いことが証明された。このCD8T細胞の一部は、筋線維細胞を攻撃しうる内鞘に局在し、パーフォリンを発現するため、筋傷害性T細胞であること考えられた。また、これら病因T細胞のTCRαβ両鎖を決定することにも成功した。これらのCTLクローンは疾患活動性が低下した半年後にも存在し、ウイルス感染時の抗原特異的CTLクローンの動態と類似していた。筋生検組織に比べ容易に入手できる末梢血に、長期に存在する筋傷害性T細胞があり、しかもこれを単離、解析できることが判明したことは、多発性筋炎の標的抗原決定、新規治療法の開発のために有用な成果であった。この病態形成性T細胞が認識する抗原を同定するために、このT細胞クローンを樹立しえた。また、ラットで自己免疫性筋炎の原因となるCタンパクに対する反応性を、PM患者の血清、末梢リンパ球を用いて調べたところ、抗Cタンパク抗体を認めず、またリンパ球増殖反応をも認めることができなかった。しかしながら病態形成性T細胞を得たことで、研究をさらに進展させることが出来る。
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