研究概要 |
αβT細胞依存性の抗原誘発による気道炎症及び気道過敏性の機序を、γδT細胞がどのように制御しているかを解明することは、気管支喘息病態をより詳細に把握する上で非常に重要な研究であると考え今回の研究を開始した。 TNF-αは免疫制御・炎症反応に関わる強力なサイトカインであるが、喘息病態における意義は不明である。申請者のグループはすでにγδT細胞がTNF-αとくにTNF receptor p75の発現に密接に関係していることを報告しているが(J Immunol,1998)、さらに申請者はpreliminaryな実験よりTNF transgenic miceの肺組織中にはwild type miceに比べ10倍以上のγδT細胞が存在することを確認している。今回TNF-α gene deficient mice及びTNF-α gene transgenic miceを使用し喘息モデルを作製し、anti-murine TCR-δ mAb投与前後における気道炎症及び気道過敏性の変化を検討し、気管支喘息におけるTNF-αの役割及びTNF-αとγδT細胞の相互作用を明らかにしてきた。研究は極めて順調に進行しており、Tumor necrosis factor (TNF)-α negatively regulates airway hyperresponsiveness through γδ T cellsというタイトルでAm J Respir Crit Care Medに報告した。この申請者の研究により、TNF-αが気道過敏性をdown-regulateしており、この機序にγδT細胞が重要な役割を果たしていることが世界ではじめて明らかとなった。また、Gammadelta T cells as regulators of airway hyperresponsivenessというタイトルでInt Arch Allergy Immunol 125:203-210,2001に報告した。
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