研究概要 |
我々は1999年にMD-2分子を発見し、グラム陰性菌菌体成分であるLPSの認識・応答に関わることを明らかにしてきた。MD-2の病原体認識における役割を分子レベルで明らかにしていくことで、宿主側の感染防御機構を利用する新たな治療法の開発につながるのではないかと考えている。 (1)MD-2に対するモノクローナル抗体の確立 stable transfectantや精製したMD-2を用いてラットに免疫し、ラット抗マウスMD-2抗体の作製を試みている。現在LPS認識に影響を与える可能性のあるものがいくつかとれてきており、さらに解析を進めている。免疫源にMD-2 fusion proteinを用いたり、ヒトMD-2に対する抗体の作製も進めている。 (2)MD-2会合分子の同定 stable transfectantやマウスcell lineと(1)でできた抗体を用いた免疫沈降法により、MD-2会合分子の同定・アミノ酸配列の解析を進めている。これによりMD-2の新たな機能解析にもつながっていくと思われる。またMD-2 fusion proteinを用いて、MD-2と直接結合する分子の同定も試みている。 (3)MD-2の精製、およびそれを用いた機能的解析 精製したMD-2やfusion proteinを用いて、MD-2会合分子であるTLR4の細胞表面への発現やLPS認識コントロールに関する解析を進めている。TLR4によるLPS認識に関してMD-2が重要な役割をしていることを、ヒト・マウスキメラ発現細胞とlipidIVaとを用いて証明した(2001, Internal. immunol.)さらに我々はMD-2ノックアウトマウスの作製も成功しており、このマウスを用いて生体内での機能解析も進めていく。 LPS認識応答は多くの分子が関わる複雑な機構であることが分かってきた。MD-2分子を足がかりに今後もこの全容を解明していきたい。
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