1 関節液から可溶性CD163を分離し、切断部位をTof-mssにて検索したところ、C末端に最も近い部位はペプチド992であり、アミノの配列はEVRであった。ただ、この部位はトリプシンにても切断可能な部位であるため、他の酵素による確認をおこなっているところである。 2 昨年度SPR法により可溶性CD163はヘモグロビンのみとも結合可能であることを見出したので、本年度は酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビンで結合能に差がみられるか検討したがこれらの結合に差は見られなかった。 3 膜型CD163がシグナル伝達に関与することが知られているので膜型CD163に結合する分子について関節リウマチ滑膜細胞をCHAPSで溶解し、抗CD163抗体で免疫沈降しシルバー染色を行ったところ、CD163の他に少なくとも3種の分子が得られたので、この分子の同定をTof-massにて解析しているところである。 4 関節リウマチ以外の疾患で可溶性CD163の増加がみられるか検討したところ、種々の肝炎において可溶性CD163の増加が見られ、特に劇症肝炎において可溶性CD163は高値であった。また、肝疾患のsCD163値はビリルビン値と相関し、プロトロンビン値と逆相関しており、劇症肝炎の予後のマーカーになるか検討中である。 5 細胞の起源がマクロファージ由来であることが示唆されている色素沈着絨毛性滑膜炎の滑膜においてCD163の発現を検討したところ、腫瘍タイプにおいてCD163の発現が著明であった。
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