研究概要 |
1.レポーター遺伝子発現系を用いたヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による転写活性への影響と選択性の評価 これまでの研究成果から、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は転写活性のレベルでシグナル遮断をおこしていることが想像される。 ルシフェラーゼレポーター遺伝子は、エピゾーマルDNAとして存在することからヒストンによる制御を受けていないことから、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤添加時における、この転写機能に与えるアセチル化の影響を調べた。その結果、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現系全般に抑制的に働くことが判明した。すなわち、転写活性化機構においてはアセチル化が負に作用していることが示唆された。(安達) 2.レポーター遺伝子発現系を用いたHAT過剰発現による転写活性への影響 ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の多彩な作用を考慮して、アセチル化のみを高めることによるコントロール実験も同時に行った。すなわち脱アセチル化酵素HDAC及びアセチル化酵素であるp300,HAT cDNAを遺伝子導入後の転写活性への影響をルシフェラーゼレポーター遺伝子を用いて調べた。その結果、p300とHAT cDNAにおいて転写活性を高める遺伝子群が異なることが判明した。一方HDACについては顕著な効果を認めなかった。今後、p300とHATの作用機転の差違、ターゲット遺伝子群のパターンの差異などについて詳細に検討してゆく必要があることがわかった。(今井)
|