研究概要 |
1.脱アセチル化酵素阻害剤のより特異的試薬の開発 脱アセチル化酵素阻害剤は、それが持つアセチル化リジンと類似した構造により、脱アセチル化酵素と結合し、その機能阻害を起こしている。そこで、アセチル化リジンを含んだp53ペプチドを作製し、競合阻害を起こさせ、ストレス刺激に対する反応性を検索した。現在までのところ、明らかな期待している生物活性を認めていないため、さらに異なったペプチドを作製するべきと判断した。(安達) 2.新規脱アセチル化酵素阻害剤によるアポトーシス誘導能・シグナル伝達系への影響の解析 新規脱アセチル化酵素阻害FK228(Depsipeptide)によって、アポトーシス誘導能やシグナル伝達系への影響をさらに詳細に調べた。この結果、画期的な抗癌作用を期待しうる生物活性を見出している。現在、論文作製中、特許申請準備中である。今後、これらの効果の分子機序につき、さらに詳細な解析を必要とする。(今井) 3.レポーター遺伝子発現系を用いたHAT過剰発現による転写活性への影響 アセチル化酵素であるp300,CBP cDNAを遺伝子導入後の転写活性への影響をルシフェラーゼレポーター遺伝子を用いて調べた。その結果、p300とCBP cDNAにおいて特にAP-1転写活性を高める作用が強いことが明らかになった。ターゲット遺伝子群のパターンの差異などについて詳細に検討してゆく必要があることがわかった。(安達)
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