1)Syrian hamster embryo fibroblast(SHEF)細胞におけるGab1^<Δ1-103>発現の分子生物学的機構 SHEF細胞のgenomic DNAの一部をlong PCR法によりクローニングすることに成功した。その結果、全長Gab1とGab1^<Δ1-103>とをそれぞれコードしているmRNAの塩基配列相違は、全長Gab1をコードするmRNAのcoding regionのうち5'末端側72個の塩基が欠失し、その替わりにイントロン由来と考えられる塩基配列が挿入されたことにより翻訳開始部位が変化してGab1^<Δ1-103>が産生されることが判明した。 2)Gab1とGab1^<Δ1-103>の細胞内局在の相違の検討 Gab1あるいはGab1^<Δ1-103>のみを発現しているpreneoplasticな段階にtransformしたSHEF細胞を用いた。プレート上で培養した細胞を2%paraformaldehydeで固定し、0.1%Triton X-100で細胞膜を抗体透過性にした後、抗Gab1抗体(全長Gab1とGab1^<Δ1-103>の共通エピトープを認識)さらにFITC標識2次抗体を結合させ、共焦点レーザー顕微鏡ACAS570によりGab1およびGab1^<Δ1-103>の発現量と細胞内局在を解析した。Gab1は細胞膜に強い発現を示し、一方Gab1^<Δ1-103>は細胞質全体に発現していた。これより、細胞内局在の相違が両者の機能的相違を説明し得る可能性が考えられた。
|