本年度は子宮癌患者末梢単核球を対象として、子宮癌の病因のひとつであるヒトパピローマウイルス(HPV)のE7のアミノ酸配列において、Th2タイプT細胞の反応するエピトープ(抗原決定基)の同定を試みた。E7蛋白をコードするアミノ酸配列のうち予備実験からHLA DRB1^*04あるいはDRB1^*09に結合する可能性を持つ配列の候補12種類を作製した。これらを患者末梢血単核球とともに2日間培養し、T細胞のIL-4とCD4をフローサイトメトリー法にて解析した。尚、IL-4とCD4が陽性でペプチドを認識するT細胞はTh2typeの抗原特異的T細胞である。解析はHLA DRB1^*0901あるいはDRB1*0405を持つ症例12例について行った。ポリペプチド毎の比較ではE7-4.1:HPV E7 61-80:DSTLRLCVQSTHVDIRTLEに対して陽性反応が認められた。また、E7-5.1:HPV E7 82-95:LLMGTLGIVCPICSに対して低い頻度ながらも陽性細胞が検出された。その他のペプチドに反応は認められなかったことからE7-4.1 DSTLRLCVQSTHVDIRTLE にはT細胞の認識するエピトープ部位とHLA DRB1^*0901あるいはDRB1^*0405に結合するアグレトープが内包されていると判断した。
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