研究概要 |
Ig-Enhanceで制御されたSRαとlck disalをプロモーターにしたmGATA3遺伝子導入トランスジェニックマウス2系統を作製した。我々はGATA-3転写因子遺伝子導入マウス(SRα-GATA-3,lck-GATA-3-Tg)とトリ卵白アルブミン認識T細胞レセプター遺伝子導入トランスジェニックマウス(OVA-Tg)との交配によりGATA-3-/OVAもしくはGATA-3+/OVA-Tgマウスを作出し、OVAとAlumで免疫後、in vitroでOVA再刺激したGATA-3+/OVA-Tgの培養上清中にIL-5とIL-13の高い産生を認めた。この際IL-4及びIFN-γ産生には何ら差は認められなかった。従って、このダブルトランスジェニックを用いてOVAを抗原とした気管支喘息モデルの樹立が可能かを検討した。その結果、OVA免疫・吸入感作にて、GATA-3+/OVA-Tgマウス肺洗浄液(BALF)中のEosonophil Peroxidase活性(8倍)、好酸球数(2倍)、IL-5およびIL-13の産生量については約2倍高かった。また、血清中の総IgE(20倍)やOVA特異的IgE量(5倍)においてもGATA-3-/OVA-Tgマウスのそれらと比べて著明に高いことが明らかになった。病理組織学的検索にて、気管支周囲のリンパ球浸潤・基底膜の肥厚・粘液産生細胞の増加がGATA-3+/OVA-TgマウスにGATA-3-/OVA-Tgマウスより顕著に認められた。以上の結果から、我々が作製したGATA-3トランスジェニックマウスは気管支喘息モデル動物として有用であることが示唆された。
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