研究概要 |
あるサイトカインで刺激した免疫細胞と刺激しなかったものからmRNAを抽出し、cDNAを合成した。cDNAサブトラクション法を用いて、このサイトカイン刺激によって発現されるcDNA断片をTAクローニング法でクローニングし、塩基配列を分析した。そのうち、新しい全長cDNA(No.102)をクローニングに成功した。No.102の塩基配列によって、Peptideを合成し、このPeptideに対する抗体を作成した。さらに、このNo.102cDNAを挿入しているPhagemidをファージライブラリーからクローニングし、COS-7細胞に発現させ、培養上清を収集し、アポトーシス誘導活性を調べた。培養上清にNo.120蛋白質の存在がWestern Blotting法によって確認されたが、マスト細胞のアポトーシスを誘導する活性が認められなかった。残念なことに、この新しい蛋白質の機能をさらに調べたところ、The EMBO JournalとNature誌でこの新しい蛋白質についての論文が発表された^<(1,2)>。Holcombらによると、No.102と100%HomologyであるFIZZIと名づけた蛋白質は、気管支喘息と関連している^<(1)>。Steppanらによると、Resistin(レジスチン)と名づけたNo.120蛋白質は脂肪細胞から分泌され、肥満と糖尿病を取りもつ重要な橋渡し役であることが報告された^<(2)>。我々の研究によると、No.120蛋白質はマウス腹腔内付着性細胞からIL-4によって誘導・分泌される。今後、このIL-4との関連性に焦点を合わせて、No.120蛋白質についての研究を推進したい。 次に、アポトーシス誘導活性を指標とするスクリーニング法を用いた。ファージライブラリーから、50-100Coloniesを単位として、Phagemidsを分離し、COS-7細胞に発現させ、培養上清を収集し、アポトーシス誘導活性を調べた。約5000個のColonyを調べたが、アポトーシス誘導活性を持つColonyは見られなかった。この研究を現在でも続けている。 さらに、大量の培養上清を収集・濃縮し、このアポトーシス誘導因子を精製する研究は続けている。 References : 1.Holcomb I.N.et al. The EMBO Journal 19 : 4046-4055, 2000. 2.Steppan C.M.et al. Nature 409 : 307-312, 2001.
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