関節リウマチ(RA)の炎症滑膜内血管内皮細胞上に特異的に発現する分子に対する抗体を作成し、これをキャリアーとして、血管新生抑制因子遺伝子を炎症滑膜部位で発現させ、炎症滑膜局所で血管新生を制御し、炎症細胞の滑膜内浸潤・滑膜細胞増生を抑止するImmunogene therapyの確立を目的とし、まずICMA-1抗体を担体として至適条件の設定を行った。2価架橋剤sulfo-succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxylate (sulfo-SMCC)を用いて、抗ICAM-1抗体とpoly (L-lysine)を架橋しpoly (L-lysine)修飾抗体を作成する。このpoly (L-lysine)修飾抗体とヒトIL-10発現ベクターDNAをインキュベートして抗体-DNA接合体を作成する。抗ICAM-1琉体-遺伝子接合体をICAM-1遺伝子をstableに発現させたCOS-7細胞(ICAM-l COS)および関節リウマチ滑膜細胞株E11に遺伝子導入した。抗体-遺伝子接合体の添加で、ICAM-1 COSおよびE11細胞の72時間後の上清においてILISAでIL-10を検出し得た。以上より、抗原特異的に遺伝子導入する方法が滑膜細胞にて可能であると考えられた。今後、さらに抗体としてFab fragmentを使用し遺伝子導入効率を向上させること、アンギオスタチン発現ベクターを抗体と接合し、プライマリーの滑膜細胞への遺伝子導入を検討する。
|