研究課題
基盤研究(C)
アンギオスタチン(AG)は、プラスミノーゲン等のクリングル構造を持つ凝固関連因子が、蛋白分解酵素により切断されて生じた分解産物であり、in vivoで癌の増殖を抑制する働きがあることが報告されている。今回我々は、その作用機序と臨床応用をめざした検討をおこなった。ヒト肝癌細胞株の上清を調べた結果、Huh-7細胞には精製プラスミノーゲン(PL)の分解活性が存在していた。その分解酵素の候補であるhuman macrophage metalloesteraseはNorthern blottingにてすべての細胞株に発現がみられた。次に、AGを精製して、肝細胞の培養系に加えることでその増殖抑制を検討することにした。まず血漿よりPLを精製し、elastaseによりAGを産生させて分離精製した。次にラット肝臓内皮細胞をコラゲナーゼとパーコール遠心を用いて分離培養し、AGを添加して増殖活性を調べた。その結果、AGは内皮細胞の増殖を抑制し、その作用はbFGF経路に影響を与えていることが判明した。次に、実際に肝癌患者の血中にAGが検出されるかを調べたところ、肝癌患者の30%に存在が確認された。またHepG2細胞において、免疫染色ではアンギオスタチン受容体の候補とされるATP synthaseの存在が示唆された。今後はこの細胞を用いて、AG添加によりcadherinのE→N型変化などの悪性表現系が抑制されるかも調べたい。
すべて 2001
すべて 雑誌論文 (6件)
Int J Cancer 92
ページ: 55-62
Clin Exp Immunol 126
ページ: 92-100
J Gastroenterol 36
ページ: 700-703
Int J Cancer. 92(1)
Clin Exp Immunol. 126(1)
J Gastroenterol. 36(10)