研究概要 |
NS5A蛋白発現細胞を用いて、apoptosisを解析した。NS5Aを発現していないコントロール細胞ではTNFの濃度依存性にcell viabilityが減少するのに対し、NS5A発現細胞では、この効果が減弱していた。さらにDNA fragmentationによってcytosolに放出されるolionucl eosomeをsandwich ELISA法で検出するcell death detection ELISAを行ない、NS5A発現細胞ではDNA fragmentationが50%以下に抑制されていることを確認した。TNF alphaによるapoptosisにはcaspase cascadeとは別に、NFkB,AP-1の活性化も関与しているため、NS5Aによるapoptosis抑制効果とNFkB,AP-1経路の活性化との関連を検討したが、関連は見いだせなかった。次にapoptosis実行proteaseであるcaspase cascadeの活性化について検討したところ、caspase8,caspase3,caspase9のいずれの活性もNS5A発現細胞ではcontrol細胞に比べて40-60%以下に抑制されていたため、NS5Aによるapoptosis抑制の作用点は、これらのcaspaseの直接の抑制か、これらのcaspase cascadeの最上流にあるcaspase8ないしはそれより上流の抑制にあると考えられた。そこでcaspase8を強制発現させたapoptosis誘導系におけるNS5Aの作用を検討したところ、NS5Aはcaspase8のapoptosis誘導活性そのものは抑制しえないとの結果が得られ、従ってNS5Aの作用点はcaspase8より上流であると考えられた。NS5A蛋白はTRADから分岐するNFkBの系は抑えないことより、作用点はTRADDより下流のFADD、FLASH等のDISC、すなわちdeath inducing signaling complexに有るのではないかと推測され、作用点については現在さらに検討をすすめている。
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