研究概要 |
ガストリンは、胃酸分泌刺激作用の他にも主細胞からのペプシン分泌促進、消化管の固有運動性への関与、さらには組織・細胞増殖促進作用があることも報告されている。事実、Zollinger-Ellison症候群におけるガストリンの過剰分泌は胃粘膜の過形成を引き起こし、逆に胃幽門前庭部の外科的切除は残胃粘膜の萎縮を引き起こす。現在まで、ガストリンC末端のアミド化は、ガストリンの十分な生物学的活性化には必須の翻訳後プロセッシングとされてきた。 アミド化を受けるとアミド化ガストリンへと変換される。非アミド化ガストリンを用いた細胞増殖実験によりcDNAライブラリー作製の為の細胞としては、ヒト胃癌細胞株AGS細胞が最も増殖能が高いこと、その増殖能がガストリン/CCKB受容体拮抗剤(AG-041R)によって抑制されないことを確認した。続いてbait側ベクターに非アミド化ガストリンをサブクローニングし、レポーター酵母Y190に導入したところ、非アミド化ガストリンの発現によってのみでも、レポーター活性が上昇し、Yeast two hybrid systemでのクローニングは出来ないと考え、非アミド化ガストリン受容体を発現していることが知られているAR42-J細胞とAGS細胞よりcDNAライブラリーを作製し、ライブラリーをmammlian expressonベクターであるpcDNA3に組み込み、発現クローニングを行っている。作製したcDNAライブラリーを増幅後、100個のグループに分け、さらに10個のグループをひとまとめにして、Cos7,HEK293細胞に導入した。、非アミド化ガストリンを発現していると思われる細胞は、I125でラベルした非アミド化ガストリンで標識し、陽性細胞の多いグループをさらに細分化して遺伝子導入を繰り返している。また、本研究で構築したYeast two hybridシステムで、消化管上皮細胞の分化に重要なRNA binding蛋白Musashi-1の結合分子のクローニングを行っている。
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