平成14年度には、C型肝炎患者血清を用いて、HCVの全領域の遺伝子をRT-PCRにより増幅し、ほぼ全塩基配列の決定を行った。また、各領域の遺伝子を、大腸菌を用いてクローニングし、それぞれ約10クローンずつ塩基配列を決定し、ダイレクトシークエンスの配列に近いものを検索した。また、より近い配列のクローンを用いて、変異導入を行い、ダイレクトシークエンスとほぼ等しいHCVクローンの作成を開始した。それぞれのクローンを連結してPBR322にHCV全長、プロモーター、HDVリボザイムが挿入されたコンストラクトを作成し、in vivo、in vitroでトランスフェクションを行い、HCV複製系を確立し、RNA interferenceなどによるHCV増殖制御の検討や、新たな増殖制御領域の特定、増殖阻害剤の探索を行っていく予定である。 平成14年度には、E2、NS5A蛋白を恒常的に発現する細胞株を作るために、IFN抵抗性のC型肝炎患者のE2、NS5Aをインフルエンザウイルスベクターに組み込んで、293T細胞、MDCK細胞に感染させて蛋白発現を試みた。E2およびNS5A共に蛋白発現が低かったため、今度は、E2、NS5Aを真核細胞発現ベクター(pKS336)に組み込み、Huh7細胞にtransfectionを行いNS5A、E2蛋白を発現する細胞株を作り始めたところである。E2、NS5A蛋白を恒常的に発現される細胞株が得られたら、HCVのIFN感受性に関する領域や、interferon regulatory factor(IRF)ファミリーなどについて検討していく予定である。
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