研究課題/領域番号 |
13670522
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
柳井 秀雄 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (60220175)
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研究分担者 |
檜垣 真吾 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (10335739)
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キーワード | EBウイルス / 胃発がん / 慢性萎縮性胃炎 / リアルタイム定量PCR / in situ hybridization |
研究概要 |
研究の目的:研究者らは、EBウイルスは慢性萎縮性胃炎の経過において胃底腺領域の萎縮が中等度に進展した段階で萎縮境界近傍で胃上皮細胞の不死化に関与するものと推定している。しかし、従来の検出法では各々感度や特異性などに限界があり、胃癌発生母地である慢性胃炎胃粘膜におけるEBウイルス感染の定量や胃内分布の詳細な検討は困難であった。本研究において、研究者らは、EBウィルスが慢性胃炎の経過においてどの段階で胃内のどの部位にどのような量と感染状態で出現するのかを検索し、胃癌の発生へと至る背景を明らかとする。 本年度の研究実施状況:すでに、慢性胃炎・胃癌症例35例について、胃内視鏡検査時に被験者への十分な説明と承諾のもとに、通常の診断目的の生検に加えてシドニーシステムによる胃粘膜5点生検を行い、EBウイルスDNAのBamHI-W断片をリアルタイム定量PCR法にて検出し、ウイルス感染の有無、胃内分布と感染コピー数、の検討を行った。その結果、65.7%(23/35)の症例において、胃生検切片からEBV DNAが検出された。胃粘膜よりのEBV DNA検出は、中等度の萎縮性胃炎例の萎縮中間帯に有意に高頻度であった(論文投稿中)。胃癌手術例での、EBウイルス感染細胞に多数存在るEBV encoded small RNA1 (EBER1)に対するoligonucleotide probeを用いたin situ hybridizationでは、EBウイルス関連胃癌は、胃体部の胃粘膜萎縮境界近傍に存在していた。胃癌120病巣におけるEBER1 ISHじよる検索では、EBV関連胃癌は、内視鏡的粘膜切除を行った54病巣には見られず、外科手術の66病巣中3病巣(5%)を占め、、胃型の粘液形質と関連を有していた(論文準備中)。これらの結果より、EBVは、慢性萎縮性胃炎の経過において中等度の萎縮の進展に伴い萎縮境界近傍に感染し、発がんに関与するものと推定している。
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