研究概要 |
ヒトChk2遺伝子はS-G2-M期におけるDNA障害チェツクポイント機構に作用していると考えられている.様々なDNA障害存在下においてヒトChk2遺伝子産物はATM依存的および非依存的経路によりリン酸化を受けて活性化されるが,ヒトChk2遺伝子産物の量的制御もチェックポイント機構に重要な役割を果たすと考えられている. 我々の研究からヒトChk2遺伝子はS-M期にかけて細胞周期依存的に発現することとp53よりヒトChk2遺伝子の転写が負に制御されていることが明らかになった.さらに、ヒトChk2 cDNAをプローブとして用いてヒトゲノムライブラリーのスクリーニングを行い,ヒトゲノム遺伝子を得た.そして転写開始点を同定し,Chk2の転写制御機構についてP53との関連を中心に解析を行った.その結果,開始点から-208から-194の位置に存在するCCAAT boxが,P53 dependentなregulationに重要な役割を有することを見いだした.さらに,NF-YがこのCCAAT boxに結合することが確認でき,NF-YのChk2遺伝子発現における意義が今後の研究課題として注目された. また,ヒトの臨床サンプルにおけるp53とChk2の発現を免疫組織化学的に検討した.すなわち,手術切除胃癌組織を抗p53および抗Chk2抗体で,免疫染色した結果,異常p53が核内に蓄積する例に,Chk2が検出できる例が存在することが明らかになりつつある.
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