研究課題/領域番号 |
13670547
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
塩見 進 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30170848)
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研究分担者 |
葭山 稔 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30240956)
西口 修平 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10192246)
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キーワード | 心筋症 / HCVコア蛋白 / トランスジェニックマウス / 筋繊維 / ANP / AP-1 |
研究概要 |
HCVコア蛋白が心筋細胞の肥大に与える影響についての検討として、HCVコア蛋白のcDNAを培養心筋細胞に導入し蛋白合成能やANP(atrial natriurenic peptide)、BNPbrain natriurenic peptide)の遺伝子発現を評価したが、明らかな変化は認めなかった。培養心筋細胞では長期間の培養ができないため、HCVコア蛋白の発現による影響が生体では長期間の経過後に出現する可能性を考え、HCVトランスジェニックを用いマウスでの心筋肥大や心機能を評価を行った。 12ヶ月後には左室肥大と収縮期および拡張期の機能不全を認め肥厚型心筋症に進展した。また、HCVコア蛋白陽性マウスは全体的に血圧が低いが一部で心重量の増加が認められることよりHCVコア蛋白が心筋細胞の肥大に影響する可能性があると思われる。また、心筋内のANPのmRNA発現はHCVトランスジェニックマウスで増強していた。さらに、AP-1(activator protein-1)蛋白の転写活性の増強を認めた。このことより活性化したAP-1がHCVトランスジェニックマウスの心筋肥大を引き起こすと考えられた。 病理学的検討において、筋繊維の破壊、欠損、Z-band異常を認めた。さらに、筋繊維細胞の核の変形、ミトコンドリア数の増加、ミトコンドリアの凝集を認めた。これらの結果はHCVコア蛋白が心筋症の進展に重要な役割を果たしていることを示唆している。このトランスジェニックマウスを用いる方法はHCV感染による心筋症発症に対する適切な動物モデルになるものと考えられる。
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