慢性B型肝炎患者では、ウイルスが排除されなくともウイルス増殖が停止して肝炎が鎮静化している患者と、ウイルス増殖が持続して肝炎が持続している患者が存在しこの両群比較すると、ウイルス増殖が停止して肝炎が鎮静化している患者群でCTLの働きが強いと考えられている。この際のリンパ球と肝細胞の中でおこる遺伝子の量的質的な変化はこれまで検討されてこなかった。そこで我々は以下の実験計画を立てて、その詳細を明らかにして新たな治療の開発を行うべく、本年は基礎的検討とサンプルの採取を行った。 慢性B型肝炎でウイルス増殖が停止し肝炎が鎮静化している患者群(A群)と慢性B型肝炎患者でウイルス増殖と肝炎が持続している患者群(B群)の2群間で、患者から得たリンパ球と肝組織におけるその結果よりHBVの増殖制御に関与する可能性のある遺伝子の候補を検討する目的で患者からリンパ球と可能な場合は肝組織を採取した。まずこれを用いて基礎的な検討を現在行っている。 さらに肝炎の活動性の強い患者において治療前に肝生検とリンパ球を採取したのちに、独自に開発した3TC投与後のステロイド中断療法を行う。この治療により高率に肝炎を鎮静化させて一定期間以上、肝炎が鎮静化してウイルス増殖も抑制されたケースを対象に再度肝生検とリンパ球採取を行って、肝炎の活動性、ウイルス増殖と発現しているmRNAとの関連を見る予定でいる。現在サンプルを採取している。 またこれらの検討に用いるDNA chipに乗せる遺伝子の検討も同時に行っており現在いくつかの遺伝子をすでにクローニングした。
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