研究課題/領域番号 |
13670563
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
中野 雅 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (50265807)
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研究分担者 |
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
東 俊文 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00222612)
西田 次郎 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50198470)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 大腸癌 / 転移 / Rac1 / Rhoファミリー / GTP結合タンパク質 |
研究概要 |
プラスミドベクターpcDNA3.1を用いてRac1 costituve active form V12をCOS細胞に強制発現させた外因性Rac1タンパク質が、内因性のRac1タンパク質に比して有意に増加していることを確認した後、12種類の大腸癌細胞株(Caco-2、Colo201、Colo205、Colo320DM、HCT15、SW1116、HT29、DLD-1、NCI-H716、LoVo、HT29N2、T84)とHuman Glioblastoma HTB26、Mouse swiss 3T3の計14種の細胞株においてRac1タンパク質の発現量を検討した。Western blotにおいて総Rac1の発現量は14種すべての細胞株でほぼ同等であった。次にPBD pull down assayとimmunoblot法を用いて活性型Rac1の発現量を検討し、LoVo、DLD1、HTB26で非常に高く、T84、HT29N2、HCT-15では極めて低いことを確認した。さらにBoyden chamberを用いた基底膜浸潤の評価系を用いて各種細胞株の運動能の検討を進め、活性型Rac1高発現群では運動能も高く、低発現群では運動能も低いことを確認した。さらにRhoファミリーGTP結合タンパク質の中でRac1同様、細胞の運動、接着、増殖に関与するCdc42、RhoAについても活性型の発現量を検討した。活性型Cdc42の発現量はRac1と異なりすべての細胞株においてほぼ同程度であった。活性型RhoAの発現に関しては活性型Rac1低発現群(T84、HT29N2、HCT-15)では高発現を示し、活性型Rac1高発現群(LoVo、DLD1、HTB26)では低発現を示し、活性型Rac1とRhoAの発現は逆相関を示した。さらにRhoA低発現群(Rac1高発現群、高運動能)細胞株のRhoA発現をLPA刺激によって増加させると運動能は逆に低下し、RhoA高発現群(Rac1低発現、低運動能)細胞株のRhoA発現をLPA刺激によって更に増加させると運動能の増加が認められた。Rac1とRhoAは別個の経路でそれぞれが細胞の運動性を制御していることが予想され、今後細胞の運動性を検討する上では両者のバランスを常に念頭に置きながら研究を進める必要があるが、活性型Rac1発現が細胞の運動能に関与する主因子であることは確実で、今後はヌードマウス盲腸漿膜下同所移植による大腸癌肝転移モデルを用いてin vivoにおける転移能の検討を行い、遺伝子治療の標的としての妥当性の検討を更に進めていく予定である。
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