研究課題/領域番号 |
13670565
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
本間 定 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50192323)
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研究分担者 |
戸田 剛太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40090500)
伊藤 正紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80297366)
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キーワード | 樹状細胞 / β-カテニン / 遺伝子導入 / 抗腫瘍免疫 / 家族性大腸腺腫症 / 大腸癌 / 細胞融合 / APC遺伝子 |
研究概要 |
β-カテニン遺伝子導入樹状細胞の作成とその抗原提示能につき基礎的検討を行った。Full lengthのβ-カテニン遺伝子を挿入したベクターを2種類のコンストラクトで作成し、C57BL6マウス骨髄由来樹状細胞にリポフェクチン法を用いて法遺伝子導入を試みた。樹状細胞は成熟段階により貪食能が異なり、未熟樹状細胞は貪食能に富むため遺伝子導入には効率が良いと考えられるが、一方抗原提示能に乏しいというジレンマが存在する。従って、遺伝子導入に最も適した成熟状態の樹状細胞を得るための検討を行った。GM-CSF 10ng/ml,IL-4 10ng/mlを用いてTNF-αなどの成熟促進のためのagentは使用せず、4日間培養して得られる樹状細胞が遺伝子導入効率に関しては最も適していることが判明した。樹状細胞はこの時点で増殖反応がほぼ停止し、耐性遺伝子を用いた導入細胞のselectionは不可能なため、樹状細胞による宿主の免疫のpreliminary studyにおいてはこの時点の樹状細胞を用いて実験を行った。遺伝子導入効率の検討のため、FACSを用いて樹状細胞マーカーであるCD11cとβ-カテニンの両方を発現するdouble positive細胞の出現頻度を検討すると、約10-30%であった。APC1309 gene knock outマウスはヒトの家族性大腸腺腫症のモデルマウスであり、生後3週ころより消化管に多数の腫瘍が発生する。同マウスより樹立したT tumor細胞と樹状細胞の融合細胞でAPC1309KOマウスを免疫すると、マウスには強い抗腫瘍免疫が誘導される。β-カテニン遺伝子導入樹状細胞と、T tumorと樹状細胞の融合細胞で免疫したマウスの脾細胞を混合培養すると、Tリンパ球の増殖反応が認められた。このことより、抗腫瘍免疫の標的抗原にβ-カテニンが含まれる可能性が示された。
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