1.SLA/LP系発現の構築 N末端欠失型のSLA/LP cDNAのN末端又はC末端にHis6タグを付加したクローンの大腸菌内と試験管内発現系および全長SLA/LP cDNAの試験管内発現系を作製した。このうちN末端欠失型の大腸菌発現産物は封入体を形成して不溶性となったが、ウサギ網状赤血球溶血液における試験管内発現産物はいずれも可溶性分画に得られた。 2.自己免疫性肝炎(AIH)患者血清中の抗SLA/LP抗体の検出 ウサギ網状赤血球溶血液35Sメチオニン標識下で合成した組換えSLA/LPに、患者血清とプロテインAセファロースを加え免疫沈降を行った。沈降物を洗浄後SDS-PAGEによって解析した。AIH患者血清29症例中6例が明らかにSLA/LPを沈降させ、さらに7例が弱陽性であった。セレノシステインtRNAに直接結合する抗体陽性が確認されている3例はいずれも非常に強い沈降活性を示した。これらの沈降は翻訳後のウサギ網状赤血球溶血液をRNase処理しても消失しなかったことから、tRNAに対する直接型抗体を介するものではないことが示唆された。 3.自己免疫性肝炎モデルの作製 試験管内転写系で合成したセレノシステインtRNAをアジュバントとともにBALB/cマウス皮内、腹腔内に複数回投与して免疫を試みたが、血清中の抗体価の上昇は認められなかった。現在全長SLA/LPcDNAを用いた大腸菌を発現系を構築し、発現産物とセレノシステインtRNAとの混合物によるマウスの免疫を試みる予定である。
|