研究概要 |
炎症性腸疾患患者(潰瘍性大腸炎、Crohn病)よりインフォームドコンセントを得た後、大腸・小腸の内視鏡下生検および手術標本にて、病変である炎症粘膜と正常と思われる非炎症粘膜をそれぞれ採取した。 本年度は各潰瘍性大腸炎患者の炎症粘膜と非炎症粘膜の免疫染色を行い、腸粘膜上皮間タイトジャンクション構造タンパクの局在を検討した。occludinは非炎症粘膜に比べ炎症粘膜で発現が低下していたが,claudin-1は炎症粘膜でも非炎症粘膜とほぼ同程度の発現を認めた。また、蛍光抗体染色・共焦点レーザー顕微鏡によるタイトジャンクション構造タンパクの局在は炎症粘膜と非炎症粘膜で明らかな差異を指摘しがたかった。 以上より、炎症性腸疾患では腸粘膜タイトジャンクション蛋白の一部に異常が認められ、本症の病態との関与が示唆された。現在、ウエスタンブロットにより、タイトジャンクションに関連したタンパクの発現を定量的に比較検討しているところである。
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