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本年度は、炎症性腸疾患モデルとしてラットを用いて、腸管上皮細胞タイトジャンクションの構造を検討した。
腸炎群では、ラットに4%Dextran sulfate sodiumを自由飲水で1週間投与し、軽度の腸炎を惹起させた。コントロール群では、4%Dextran sulfate sodiumを含まない通常の水を1週間自由飲水させた。1週後に、ラットの大腸を摘出し凍結保存した後、以下の実験に用いた。
免疫染色によりタイトジャンクション構造タンパク(claudin-1、claudin-2、claudin-3、claudin4、claudin-5、ZO-1、occludin)の局在を腸炎群とコントロール群で比較検討した。その結果、腸炎群でclaudin-1とoccludinの発現が低下している傾向がみられたが、両群間で有意な差を認めなかった。また、claudin-2、claudin-3、claudin-4、claudin-5、ZO-1においても両群間で有意な差を認めなかった。
以上より、炎症性腸疾患ラットモデルでは腸粘膜タイトジャンクション蛋白の一部に異常が疑われたが、その意義についてはさらなる検討が必要と考えられた。今後、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、claudin-1、claudin-2、claudin-3、claudin-4、claudin-5、ZO-1、occludinの発現を腸炎群とコントロール群で比較検討する予定である。
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