本年度は、炎症性腸疾患ラットモデルを用いて、経口5-アミノサリチル酸製剤(メサラジン顆粒)の大腸粘膜透過性、および大腸炎に与える影響を検討した。腸炎は、ラットに5% Dextran sulfate sodiumを自由飲水で5日間投与して惹起させた。コントロールは、5% Dextran sulfatesodiumを含まない通常の水を5日間自由飲水させた。 いずれもメサラジン顆粒あり(経口ゾンデで一定量を5日間連日投与)、なしの2つ分けた。以上、1)コントロール+メサラジンなし(C群)、2)コントロール+メサラジンあり(C+M群)、3)腸炎+メサラジンなし(D群)、4)腸炎+メサラジンあり(D+M群)、の4つの群に分け、比較検討した。ラットの大腸を摘出し、腸管長、MPO活性、炎症細胞浸潤(光顕にてスコア化)、粘膜透過性(エバンスブルー)を測定した。C群とD群で比較検討すると、D群で有意に腸管長の短縮、MPO活性・炎症細胞浸潤・粘膜透過性の高値を認めた。さらに、D群に比しD+M群では、腸管長、MPO活性・炎症細胞浸潤・粘膜透過性のいずれもC群と同程度まで改善した。C群とC+M群では差を認めなかった。以上より、経口5-アミノサリチル酸製剤は炎症性腸疾患ラットモデルの腸炎および粘膜透過性亢進を抑制することが示唆された。
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