研究概要 |
サイトカインLECT2は、肝臓に特異的に発現している。これまでに同遺伝子のノックアウトマウスを作成したところ、正常に誕生し見かけ上何ら変化が見受けられなかったが、自己免疫性肝炎のモデルで知られるConcanavalin A(ConA)による肝炎のマウスモデルでは重篤化することがこれまでの研究で判明した。そこで今年度はそのメカニズムを探るために同肝炎に関わる各種サイトカインの発現動態を調べた。Balb/cをバックグランドとしたLECT2-KOマウスのメスにConA 10mg/kgを静脈注射し経時的に肝臓を取り出しmRNAを調整、RT-PCRによる半定量的な解析を行った。これまでに同肝炎に関わると報告されているサイトカインTNF-α,IFN-γ,IL-2,IL-4,IL-6,IL-10,IL-12等の変化を追った。その結果IL-4の発現が1時間後において野生型の2倍の発現を示した。IL-2,IL-6、IL-10でも両マウス間で差を認めた。また、IL-4は1-2時間で血中濃度が高いことがわかった。IL-4が極めて初期に顕著な差を示したことからLECT2-KOにおいて肝臓のリンパ球の機能が野生型と異なる可能性が考えられた、そこでフローサイトメトリーによる肝臓リンパ球画分の各種表面抗原による解析を行った。IL-2RβとCD3、CD4とCD8、TCRαβとTCRγδのそれぞれの2重染色で野生型とKOでのリンパ球の分布を比べたが、両マウス間で顕著な差は観察されなかった。そこで、両マウスから肝臓リンパ球画分を調整しConA 3ug/mlで刺激し経時的にmRNAを調整、RT-PCRによる半定量的解析を行った。その結果IFN-γ,IL-2,IL-4においてLECT2-KOの肝リンパ球で2倍近い誘導が観察された。そのときIL-10では誘導に差が見られなかった。
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