研究概要 |
【目的】 サルコイドーシス発症の要因探るため,Propionibacterium acnes関与の立場とは異なった観点から起因物質の検討を行う.すなわち,これまでのペプチド抗原の検索に加えて脂質抗原との関連に焦点を当てる. 【平成13年度研究実績の概要】 各種疾患からの肉芽腫病変部におけるCD1分子発現の検討のため,サルコイドーシス患者の皮膚病変(1例),リンパ節病変(2例),肺組織病変(3例),筋組織(1例),対照群としての肺組織(7例)を集積した. 抗体として,anti-CD1a(O10),anti-CD1b(4A7.6.5),anti-CD1c(L161),anti-CD83(IM2069)との反応性を確認した.またリンパ球やマクロファージとの関連をみるために,二重染色(ペルオキシダーゼ標識,アルカリフォスファターゼ標識)での免疫組織化学実施上の条件設定を終えた. 脂質抗原による肉芽腫形成実験のため,trechalose-6,6'-dimycolate(a gift from Dr.Kuni Takayama,University of Wisconsin-Madison)と1%メチル化ヒト血清アルブミンとミコール酸のエマルジョンをそれぞれ免疫脂質抗原とし,B57BL/6マウス,Lewisラット,ハートレイ系モルモットに対して,初回感作,二次感作を陰茎背静脈から免疫脂質抗原を静脈注射し,経時的な肉芽腫形成の有無をpreliminaryに検討した.その結果,いずれの動物腫においても肉芽腫形成が確認された.マウスでの肉芽腫形成はモルモットよりも弱かった. 以上より,サルコイドーシス患者からの病理検体中に脂質抗原の存在する可能性が推定され,動物実験にて肉芽腫形成作用があることが確認されたため,平成14年度では詳細な検討が可能となる研究方針が決定された.
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