研究概要 |
本年度は,48名(平均年齢45.9±10.8:標準偏差)の閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(OSAHS)患者,body mass index(BMI)30.2±4.3kg/m^2,1時間あたりの無呼吸低呼吸回数51.9±18.5において夜間の心電図上のQT間隔のバラツキ(QTcD)と心臓交感神経機能の指標である[123I]Metaiodo-benzylguanidine(MIBG)心筋シンチの関連を調べた.OSAHS患者のQTcDは覚醒中には正常人と有意差は無かった.経鼻持続持続気道陽圧療法(nCPAP)治療前後においてOSAHS患者の睡眠中のQTcD時間は有意(P<0.0001)に減少した.睡眠中のQTcDは睡眠中の最低酸素飽和度(r=0.43, p=0.004),酸素飽和度90%以下時間(r=-0.35, P=0.02)と有意に相関したが,MIBG心筋シンチの諸指標とは相関しなかった.QTcDの延長と心臓交感神経機能の亢進はいずれも予後不良因子であるが,本研究の結果は,夜間睡眠中のQTcDの測定がMIBG心筋シンチとは独立した指標になり得ることを示した(投稿中).また,本年度はOSAHSで肥満(25kg/m^2以上)のある患者においては約35%にアミノトランスフェラーゼ(AST, ALT)値の有意の上昇がみられることを示し,睡眠中の無呼吸による低酸素が増悪因子となっている可能性を示唆した.また,肥満のあるOSAHS患者のAST, ALT値はnCPAP治療により改善をみた.この事実は,肥満患者で原因不明の肝酵素の上昇がみられた場合,OSAHSの存在を考慮する必要があることを示唆している(American Journal of Medicine in press)
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