研究概要 |
我々は膜結合型プロテアーゼであるCD13/aminopeptidase Nが、肺サルコイドーシスで高い発現がみられることを明らかにした。その発現は、サルコイドーシス以外の特発性BOOP、過敏性肺炎、特発性肺線維症などの間質性肺疾患の病変肺に強く発現していた。その発現は疾患の活動性と相関し、また治療により発現の低下がみられたことから、CD13/aminopeptidase Nの発現の測定は間質性肺疾患の活動性マーカーとして有用である可能が示唆された。また、CD13/aminopeptidase Nがin vitroでTリンパ球に対する細胞遊走活性をもつことを見出し報告した。肺サルコイドーシスの病態におけるCD13/aminopeptidase Nの関与を検討した結果、のなどの肉芽腫性肺疾患を中心に間質性肺疾患におけるCD13/aminopeptidase Nの発現を免疫組織学的手法などを用いて検討した結果、肺組織においては病変部のマクロファージに強い発現がみられることを見出した。CD13/aminopeptidase Nに対する特異的阻害剤であるbestatinがCD13/aminopeptidase Nのリンパ球遊走活性やinterleukin-1,6,8などの炎症性サイトカインの放出を抑制する作用も明らかにした。これらの成績は、CD13/aminopeptidase N阻害剤が間質性肺疾患のリンパ球性炎症を抑制し、本症に対する治療薬として有用である可能性を示唆するものである。
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