目的:ヒトオステオポンチン(OPN)はRGD認識部位を有する燐酸蛋白であり、サイトカイン様作用を有している。近年Th1 cytokine優位な肉芽腫形成性疾患において、重要な役割をはたすことが報告されている。我々は、人において、種々の抗体を用いて、全長型および断片化OPNの測定系を確立した。さらに、Informed contentを得た結核患者およびサルコイドーシスにおいて血中のOPNを測定しその臨床的意義を検討した。さらに、informed contentを得た健常者および呼吸器疾患でOPN遺伝子多型single nucleotide polymorphisms (SNPs)のassay系の確立を目的とした。 方法:未治療の結核患者30例(病変の拡がり1.7例;拡がり2.14例;拡がり3.9例、うち粟粒結核4例を含む)、未治療のサルコイドーシス23例と健常者から血漿を分離し、BALは未治療のサルコイドーシス13例、健常者7例に施行し、BAL上清を分離し、抗OPN抗体を使用したELISAによって血中の全長型および断片化OPNを測定した。Allele specific PCRで、OPN SNPの検討を行った。 結果:全長型と断片化OPNは結核、サルコイドーシスおよび健常者で正の相関を認めた。全長型OPNは健常群(197.63±70.50ng/ml)に比し結核およびサルコイドーシスで有意に高値であり、また、結核では病変の拡がりが広いほどより増加していた。サルコイドーシスのBAL中にはトロンビンで切断されたOPNが健常者に比較し有意に増加していた。また、OPN SNPsに関してはT-443CとT-616Gのpromoter領域のOPN NPsのassay系が確立できた。
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