研究概要 |
これまでの研究でIL-18はIL-12と同様にTh1の強力なinducerとして考えられていた。しかし我々と兵庫医大の中西らによってIL-18がTh1型サイトカインだけでなくTh2型サイトカインIL-4,IL-5,IL-10,IL-13やCD40リガンド(CD40L/CD154)の発現誘導を介してIgE,IgG1産生誘導に関与していることを証明した。これらの研究の過程で我々はIL-18がIL-2と共同してマウスに急性の肺障害を引き起こし、死亡させることを発見した。IL-18とIL-2を同時に投与した群においては、いずれのマウス(B6、Balb/c、129)でも急性の致死反応がIL-18,IL-2の容量依存性に認められた。IL-2或いはIL-18の単独投与では肺障害はなかった。組織学的には急性期(IL-18/2投与後4〜7日後)には著明なNK細胞を主体の細胞浸潤を伴った肺の間質肥厚を認め慢性期(投与約2週後)には肺線維化を認めた。他臓器には全く異常がなかった。またIL-18/2を投与したマウスでは肺Hydroxyproline値、血清中や肺組織中のTNF-α、IFN-γ、MIP-1α、MIP-2、IL-6等の著明な上昇が認められた。この肺障害はMMPインヒビターの前処置でも変化がなかった。この致死反応はIL-18RαKOマウスでは完全に、IFN-γKOマウスでは部分的に抑制された。IL-4KO、IL-13KO,IL-4/13KO、STAT 6KOマウスではWild typeと同様の致死反応が認められた。また抗アシアロGM1抗体または抗NK1.1抗体の前処置によるNK細胞除去で致死反応は完全に抑制された。以上よりIL-18とIL-2の投与によって誘導される急性の間質性肺炎にはサイトカイン、ケモカイン、NK細胞が重要な役割を果たすと考えられた。
|