研究概要 |
クララ細胞除去マウスにシリカ吸入曝露を行い、クララ細胞がシリカによる肺傷害にどのような役割を果たすか検討した。 ナフタレン300mg/kgを腹腔内注入して作成した、クララ細胞除去マウス及びWild typeマウスに、シリカを吸入曝露(Min-U-Sil,シリカ平均重量濃度97.1±9.5mg/m^3,6時間連続曝露、最大2週間吸入曝露)を行い、1日、3日、1週間、2週間後に解剖し、右肺よりRNA抽出、左肺は、パラホルムアルデヒドにて定圧固定した。 肺粗織中の炎症細胞数を画像解析ソフトを用いて、算定した。シリカを曝露したWild typeマウスと比較して、シリカ曝露クララ細胞除去マウスでは、著明な泡沫化マクロファージの浸潤を認めた。 次に泡沫化マクロファージの機能を検討するために、貧食作用としてCD36,scavenger receptorB1/2、サイトカイン発現として、MMP-12の発現を免疫染色にて観察した。シリカを曝露したクララ細胞除去マウスのマクロファージでは、CD36,scavenger receptorB1/2、MMP-11の発現が亢進しており、泡沫化マクロファージは、貧食能だけでなく、サイトカイン発現能も亢進していることが認められた。よって、クララ細胞は、シリカによる肺傷害において、マクロファージの活性化抑制により、炎症・線維化を抑制することが示唆された。 また、CCSPをアデノウィルスに組み込んだベクターのウィルス活性の検討が終了したため、気道上皮細胞やブレオマイシン肺線維症ラットモデルに投与して、CCSPの役割を検討する。
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