研究概要 |
我々は、CCSP, CGRPが末梢気道傷害においてどのような役割を果たすか、つまり、上皮細胞の傷害、修復にいかに関与するか検討するために、粉じん曝露による上皮傷害のin vitro, in vivoモデルを用いて、以下に示す項目の解析を行った。 1)粉じん曝露による上皮細胞傷害 現在使用されている粉じん(結晶質シリカ、チタン酸カリウムウィスカ、クリソタイル、酸化鉄)を肺胞上皮細胞のセルラインであるA549細胞に曝露して、アポトーシス、そのシグナル伝達について検討した。粉じん曝露による肺胞上皮細胞(A549細胞)のアポトーシスは、CaspaseやJNK/SAPK(MAP kinase)を介したシグナル伝達が関与したことが認められた。 2)CGRP遺伝子の肺胞上皮細胞増殖促進作用 CGRPは、用量依存性の肺胞上皮細胞の増殖促進作用があり、ERK(MAP kinase)を介したシグナル伝達の関与が認められた。 3)粉じん曝露動物モデルにおけるCCSP, CGRP遺伝子の発現変化 結晶質シリカの気管内注入モデルにおいては、両遺伝子とも発現が低下し、PT1、SiCW曝露モデルにおいては、低下がみられなかった。炎症線維化の進行病変では、炎症抑制・修復関連遺伝子の発現が低下し、可逆性病変では、発現が亢進傾向ないしは亢進した。 4)粉じん曝露したクララ細胞除去マウスにおけるクララ細胞の機能解析 ナフタリン曝露によりクララ細胞除去マウスの作成を確認し、結晶質シリカのの2週間の吸入曝露を行った。結晶質シリカを吸入曝露したクララ細胞除去マウスにおいて、肺胞マクロファージの著明な浸潤を認め、泡沫化した。さらには、その泡沫化マクロファージは、貪食能やサイトカインの産生能が亢進した。
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