研究課題/領域番号 |
13670626
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 一男 東北大学, 医学部附属病院, 助教授 (70280873)
|
研究分担者 |
小野寺 宏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20214207)
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136428)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
キーワード | 脱髄疾患 / 神経免疫学 / 神経難病 / 多発性硬化症 / オリゴクローナルバンド |
研究概要 |
髄液のオリゴクローナルバンド(OB)は多発性硬化症(MS)の重要な検査所見である。しかしOBの臨床的意義や標的抗原など未だ不明な点も多く以下の検討を行った。 OBの病型別頻度を鋭敏な等電点電気泳動法により解析した。通常型MSでは67.9%、視神経脊髄型MSでは10%のみ陽性であった。またOB陰性の通常型MSでは非典型的な脳MRI所見が多かった。 ファージディスプレイ法にて髄液IgGのエピトープ解析を行った。各症例で複数のファージに共通なアミノ酸配列がみられ、ヘルペス属ウイルスとの相同配列の検出頻度が高かった。しかし配列は症例毎に異なっていた。 またOB陽性の1例で異なる3病期の髄液を解析したところ、EBウイルスの構成タンパクと相同な配列が一貫して検出された。そのうちEBウイルスのZEBRAタンパクと相同な配列がWestern blotで血清よりも髄液IgGと強い反応を示しOBとの関連が疑われた。このペプチド配列からGST融合タンパクを合成し、GST pull down assayにてこのGST融合タンパクに反応した髄液IgGを免疫沈降産物中に確認した。そしてこの吸着後の髄液を2次元電気泳動で解析したところ、IgG light chainの一部のスポットが消失した。しかしこの吸着後の髄液を等伝点電気泳動したがOBのパターンは不変であった。したがってOBの各バンドは複数の抗体から構成されていると考えられた。 再発時の髄液のEBウイルスのviral IL-10をELISAで測定したが、有意な上昇はなかった。 髄内三叉神経根に沿った病変を有するOB陽性症例で再発時の髄液抗単純ヘルペスウイルス抗体の上昇がみられ関連が疑われた。 本研究により、OBと特定の病型や病変と密接な関連が明らかになった。また髄液IgGと結合するペプチド配列が解析され、OBの標的抗原解明への一助となった。
|