孤発性筋萎縮性側索硬化症(SALS)の原因は未だ不明であるが、多く因子が発症に関与していると考えられている。SALSにもアルツハイマー病におけるAPOE4のように発症を促進する疾患感受性遺伝子が存在する可能性があり、疾患感受性遺伝子の同定を目指して第一段階として疾患・対照関連解析を行った。本邦のSALS109人(男性66人、女性43入、平均年齢59.5±11.1歳)と対照群110人(男性58人、女性52人、平均年齢72.5土6.4歳)から十分なインフォームド・コンセントを行い採血した。末梢血白血球より抽出した高分子DNAを用いて、全ゲノム領域に約4.6cM間隔で分布する811種類のマイクロサテライトマーカーを用いてPCRを行った。PCR産物を電気泳動し、得られた多型データを用いてマーカーごとに遺伝子型頻度の違いをχ^2test (2×n Table)を用い比較した。その結果、第13、18番染色体上にそれぞれ1カ所ずつp<0.001となるマーカーを見いだし、また、0.001<p<0.01を示すマーカーを7カ所で認めた。これらの低いp値をとったマーカーの近傍に多型性に富むマイクロサテライトマーカーを新たに複数設定し、さらに関連解析を行った結果、X染色体上に3つのマーカーが連続して0.05を下回るp値を示す100kbpに渡る興味深い領域も同定した。これらはSALSの疾患感受性遺伝子の存在候補領域と考えられた。
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