重症筋無力症(MG)患者の胸腺組織のCTならびに^<201>TI-single photon emission computed tomography(SPECT)による術前評価と、胸腺摘除術により取り出した胸腺組織の病理所見との対比を検討した。対象は、30名の治療のために胸腺摘除術が必要と考えられたMG患者で、ステロイドなどの免疫療法を受けていない者について検討した。前縦隔のCTならびに^<201>TI-SPECTは術前に評価した。病理所見の結果は、9名の患者が胸腺腫、11名の患者が過形成、10名の患者が正常胸腺を持っていた。結果的に、CTは9例すべての胸腺腫を正しく診断出来、過形成は11例中5例で正しい診断を下した。^<201>TI-SPECTでは胸腺腫9例のうち6例のみしか診断できず、過形成は11例中6例を診断できた。また、^<201>TI-SPECTは胸腺腫と過形成を区別することが出来なかった。CTにより近似的に求めた胸腺組織の体積と、重症度、発病年齢、血清抗アセチルコリン受容体抗体価などの臨床所見との相関を検討したところ、body mass index(BMI)のみが相関することが分かり、胸腺組織の大きさは疾患活動性とは関係なく、単に体内脂肪を反映した結果であることが分かった。以上の結果より、MG患者における胸腺の術前画像検査としては、^<201>TI-SPECTよりもCTが信頼できることがわかった。胸腺腫以外の胸腺組織を持った患者に対する胸腺摘除術の意義が再考されている現在、CTによる胸腺腫診断は今後ますます重要性を持つと思われた。
|