研究概要 |
神経変性疾患は特定の系統の神経細胞において細胞死が生じる疾患である.現在のところ,神経細胞死が生じる原因は明らかになっていない.近年,家族生神経変性疾患の、原因遺伝子が相次いで同定されている.その一部は原因遺伝子翻訳領域の三塩基リピート部分が異常に延長することにより,神経細胞死をきたし神経変性疾患を発症する為,三塩基リピート病といわれている.このポリグルタミン鎖を含む蛋白は多くの場合,神経,系統に限らず全身の臓器で発現している.最近,'異常に伸長したポリグルタミン鎖を認識する抗体が開発され商品化されている.異常に伸長したポリグレタミン鎖を有するかどうかのスクリーニングを皮膚線維芽細胞を用いて検討する方法を開発することを本研究の目的とした.患者の同意を得た後に皮膚生検を行った.DMEM溶液を用いて37℃培養器内で2週間培養を続け,その後,新しいフラスコに細胞を移し継代培養をした.細胞をスクレーパーにより回収しサンプルバッファとともにホジェネートした.SDS-PAGEにて電気泳動し、抗ポリグルタミン・モノクロナール抗体を一次抗体,蛍光抗マウスIgG抗体を二次抗体としてウエスタン・ブロッティングを行った.いくつかの遺伝子が同定されていない症例において特異的なバンドを認めた.今後,さらに組織免疫染色などを行い.その蛋白の同定を行う予定である.皮膚線維芽細胞を用いてポリグルタミン病のスクリーニングおよび未知のポリグルタミン病め同定が可能であると考えられた.
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