研究課題/領域番号 |
13670651
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大八木 保政 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (30301336)
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研究分担者 |
古谷 博和 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (60253415)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / p53 / アポトーシス / 神経細胞 / プロモーター / プロテオーム解析 / プレセニリン |
研究概要 |
現在、アルツハイマー病(AD)脳におけるニューロン死の原因は、細胞外に沈着する不溶性アミロイド蛋白によると考えられており、その主成分はアミロイドβ蛋白42(Aβ42)である。しかし、我々は細胞内Aβ42がニューロン死に極めて重要な働きをすることを見出した。 我々は、大量に細胞内Aβを発現する実験系において、Aβ42過剰発現系でp53mRNAの発現増加を認めた。Aβ42のプロモーター領域の、特に熱ショック反応領域にAβ42が特異的に結合することを見出し、さらに未知の核蛋白がAβ42のプロモーター結合能を調節していることがあきらかになった。一方、Aβ42によりp53過剰発現した細胞ではアポトーシスが誘導され、この現象はp53-dependentであり、細胞内Aβ42による細胞死の主要経路であると考えられた。さらに、このような神経細胞死がAD脳で実際に起こっているか検討するために、ヒト脳組織を用いて、ウェスタンブロット解析および免疫染色を行った。p53蛋白レベルはAD脳で約2倍に増加しており、二重免疫染色では少数のニューロンでAβ42とp53の沈着を認めた。電顕では、細胞内沈着Aβ42はあきらかなfibrilは形成していなかった。一方、アミロイド前駆体蛋白(APP)に変異を持つ家族性ADのモデルマウスを利用して、細胞内外のAβ42沈着の経時的変化を検討したところ、細胞外沈着よりも早期に細胞内Aβ42の沈着を認めた。このことは、ADのニューロン異常において細胞内Aβ42がより重要であることを示唆している。従って、特異的にp53カスケードを抑制する薬剤はADの治療に利用できる可能性がある。一方、p53経路以外にも家族性AD遺伝子異常に関連するストレス蛋白異常を2次元電気泳動によるプロテオーム解析により探索中である。現在、候補となる3種の蛋白を解析中であり、将来の治療法の開発につなげたい。
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