研究概要 |
ヒト正常PABP2 cDNAと(GCG)_9を持つ変異PABP2 cDNAをぞれぞれpCAGGSベクターにクローニングし,トランスジーンをマウス受精卵にmicroinjectionにて導入し,正常PABP2 cDNAを発現しているC10-Tgmを2ラインと,変異PABP2 cDNAを発現しているC13-Tgmを3-ライン樹立した.各ラインは外観上有意な変化は特認めなかったが,C13-Tgmは出生後死亡しやすい傾向にあり,体重が野生型と比較して有意に軽かった. また,C13-TgmではHE染色において壊死・再生像に乏しい筋線維の大小不同と筋萎縮像を認め,さらに核の膨大化というユニークな所見を認めた.抗PABP2ポリクローナル抗体の免染では,C13-Tgmにおいて様々な大きさの明るい核内陽性物を多数認めた.またTB染色では多数の筋線維核内に大型の明るい封入体を認めた. 一方,OPMDの病態解明と治療法開発のため,平行してモデル細胞系を樹立した.COS-7-細胞にヒトPABP2-A10:(GCG)6とPABP2-A17:(GCG)13をEGFPのC端と融合させてtransfect-したところ,異常伸長したA17の方が,野生型のA10より,核内でPABP2蛋白が凝集しやすくなり,細胞死が誘導されることを証明した.さらにほ乳類(HSP40,HSP70),酵母(hsp104),細菌(GroEL)および化学的(Me_2SO)シャペロンの凝集・細胞死抑制機能について検討した結果,全シャペロンが核内で発現し,蛋白凝集と細胞死を抑制することを証明した.この病態はポリグルタミン病と酷似している.
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