研究概要 |
血小板性VEGFと内皮細胞増殖活性 Crow-Fukase症候群(CFS)患者において異常高値を示す血清VEGFは血小板由来であり凝集反応により放出されることを報告したヒト培養血管内皮細胞の増殖活性は患者血清と正常対照者血清においては差を認めなかったが,患者由来の血小板抽出産物は正常対照者由来のそれに比べ高い増殖活性を認めた.VEGFを過剰に含む血小板の血管壁への粘着・凝集が局所でのVEGF濃度を著しく高め・血管透過性亢進,血管新生,凝固,炎症,血管修復などの生理活性を過剰発現させるものと推測された. 血小板性VEGFのisoform 血小板抽出産物のimmuno-blottingにより血小板性VEGFのisoformはVEGF165・121でありVEGF165が優位であった. 播種性血管内凝固症候群(DIC)と血小板性VEGF CFS患者の血清VEGF濃度および血小板数の下がり始める時期は循環血中での血小板の消費に伴うVEGFの放出を意味しておりDICの徴候の一つであると推測された. 肺高血圧症と血小板性VEGF CFSに於ける肺高血圧症の原因が血小板性VEGFである可能性を強く示唆する症例を経験し報告した.CFSと肺高血圧症の合併はthiamineの欠乏あるいはIL-1β,IL-6,TNF-α,VEGFの上昇がその原因として推測されてきたが本症例は治療前において血清VEGFのみ異常高値を示し,治療により臨床症状の改善,血清VEGFの低下と伴に肺高血圧状態の消失を認めた. 病態モデルとしての高VEGF血症マウス VEGF産生ヒトグリオブラストーマ細胞移植ヌードマウスにおいては血中VEGFの高値を認めたがCFSに特徴的な末梢神経障害は存在しなかった.このモデルにおいては血小板性VEGFの上昇は認めなかった.
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