研究概要 |
平成13年度は脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration ; SCD)のうちで病変が小脳に限局する皮質小脳萎縮症(cortical cerebellar atrophy ; CCA)患者を対象とし,抑制的情報処理過程に関与するNo-Go刺激のP300では頭皮上電場強度が有意に低下し,その潜時が延長することを明らかにした(臨床神経生理学29:438-442,2001).この結果は,小脳が高次脳機能処理を遂行する上で抑制的情報処理に関与していることを示したと考えられる.本年度は,以上の背景にある小脳から前頭前野への投射系の異常を機能解剖学的に明らかにするため,CCA患者を対象に,各種心理機能検査に加え,13年度と同様に画像刺激連続遂行課題(continuous performance test : CPT)を用い,20channelのトポグライーを測定した.昨年度は解析にglobal field power(GFP)および,陽性・陰性centroidの中点であるgravity centerを用いたが,本年度は時間的・空間的電場変動を機能解剖学的により明確なものにするためTalairach脳図譜上に神経活動の広がりを重畳しトモグラフィとして描写できるようになったスイスチューリッヒ大学KEY研究所開発のLow Resolution Brain Electromagnetic Tomography解析システムを用い検討した.結果としてCCA患者では正常者に比しBrodmann area 6での活動性が有意に低下していることを明らかにした(Neuropsychobiology:巻数,頁数未定,2003印刷中).
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