研究概要 |
タウオパチーにおけるタウmRNAの変化 進行性核上性麻痘(PSP)と大脳基底核変性症(CBD)で、定量的RT-PCR法をもちいてタウ蛋白のmRNAの測定を行った。対照例の前頭葉皮質では4Rタウと3Rタウが一定であるのに対し、CBDでは4Rの比率が有意に高かった(vs. control : P<0.05)。PSPの前頭葉では様々であり対照と差がなく、淡蒼球ではPSPとCBDともに対照例に比べて4Rの比率が高かった。免疫組織化学による異常蓄積タウの程度とは明らかな相関はみられなかった。これらの疾患ではmRNAのレベルで4Rが増える機序が働いているが、更に4Rタウのみが沈着するのには翻訳後の変化が推定される。これらの結果をまとめて雑誌に報告した。 髄液の4Rタウの測定 作製したExon 10抗体を用いてELISA法による測定法を確立した。髄液中のタウを測定には検出感度をあげる必要があり用いる抗体の工夫を行っている。またPSP, CBDでexon2,3を含むタウ蛋白のアイソフォームが蓄積タウに含まれるかどうかをみるためexon2ないし3を含むアイソフォームを認識する抗体を作製した。現在これらの抗体の特異性をCBD, PSPの切片をもちいて検討中である。 タウ遺伝子の新規変異をもつ家系の発見とその病態解析 L266Vの変異をもつ17番染色体に連鎖する前頭側頭型痴呆とパーキンソニズムの家系を見いだした。その病理像,蓄積タウに生化学的性状,遺伝子変異が蓄積タウをきたす機序の一部を明らかにし,雑誌に発表した。
|