研究概要 |
1)高齢者でみられる運動障害・痴呆を呈する疾患の中で異常タウ蛋白の蓄積がみられるタウオパチーの病態解明をすすめるためタウのアイソフォーのうち4リピートタウを認識する抗体を作製した。この抗体を用いて4リピートタウが蓄積する進行性核上性麻痺(PSP)の剖検脳を調べアストロサイトに4リピートタウが蓄積する点を明らかにした。髄液中の4リピートタウを測定することによりこれらの疾患を診断するためELSAにより高感度で4リピートタウを測定する系を確立した。現在、PSPや大脳基底核変性症の患者さんで倫理委員会の承認をえて髄液の4リピートタウを測定中である。 2)タウの遺伝子に異常によるタウ蓄積症はタウ蓄積症の発症メカニズムを解明するのに重要であるが本邦での実態を解明するためタウ遺伝子の検索をおこった。本邦初のP301L変異の家系を見いだし報告した。またその後P301L変異のもう1家系もみいだし、この2家系でのハプロタイプ解析により、本邦の家系では欧米で報告されているものとは異なる祖先からのなることを明らかにした。さらに新変異L266Vの家系を発見し、その剖検脳で従来の報告にはないタウの神経細胞、アストロサイトの蓄積形態をみいだした。 3)定量的RT-PCR法により大脳皮質基底核変性症(CBD)の大脳皮質とCBD, PSPの淡蒼球では4R/3Rの比が高くなっているが、免疫組織化学の結果と合わせて、スプライシングと翻訳後の修飾の両方の病態が考えられた。
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